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2009年4月

2009年4月26日 (日)

『グラン・トリノ』

T0007131.jpg初日。新宿ピカデリーはほぼ満席。『チェンジリング』に続いいてのクリント・イーストウッド監督作。前評判にたがわない傑作でした。エンドロールが終わっても余韻が続くタイプの一本。なんと言っても78歳のイーストウッドの存在感がすさまじい。188cmの長身でチンピラに向かっていく様は迫力十分。「怒らしてはいけない相手というものがあるんだ」などとすごむ場面などマンガのようなかっこよさです。

主人公のウォルトは朝鮮戦争から復員後、フォードの工員として勤め上げ、現在は郊外の一軒家に一人暮らし。妻に先立たれ、一頭のラブラドールととも暮らしている。新しいモノを極端に嫌い、近所づきあいを拒み、数少ない楽しみと言えばヴィンテージ・カーのフォード「グラン・トリノ」を磨き上げ、それを見ながらビールを傾けること。「グラン・トリノ」は彼にとって、古き良きアメリカの象徴であり、変わる時代の中で自分が守ってきた価値の現れなのだ。口は汚く、偏見にまみれ、すぐカッとなって犬のように相手にかみつく。そんな相当のカタブツ老人が、ひょんなことから隣に越してきたモン族の家族と交流することとなり、だんだんと人の優しさやぬくもりを思い出していく。

典型的な白人とアジアの少数民族という異文化同士の衝突が生み出すくすくすとした笑いが全編にあふれていて、ハートウォーミングな展開が続くのだけど、主人公とモン族のチンピラとの対立が深まるにつれ、徐々に緊張眼が高まっていく…。映画が始まった瞬間のテーマ曲からなんだか傑作の予感を感じさせ、ストーリーも演出も無駄がないというか、時間をかけず撮影されたような印象で軽いタッチなんだけど、後半にかけての物語のたたみかけ方がすごい。口汚いスラングでいっぱいの台詞まわしもおもしろいし、主人公の戦争中の後悔やつぐないといった感情が物語を進めていくところとか、いくつもの複線を巧みに回収していくところなど脚本がとても上手でした。とくに散髪屋での男を上げる修行のくだりのおかしさといったら。

イーストウッド自信は、これを最後にもう映画の主演はしないそうなのですが、強さと優しさを兼ね備えた大人の男の魅力にあふれたキャラクターで、これこそがイーストウッドがもっとも演じたかった男なのかという感銘もあり、物語のテーマとともに強いメッセージを投げかけられる映画でした。

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