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2009年3月 4日 (水)

『チェンジリング』にうなる。

T0006220_7新宿ピカデリーにて。アンジェリーナ・ジョリー主演。クリント・イーストウッド監督。おもしろい。相当の名作。見応えがかなりヘビーなので、気軽に何度も見られないだろうけど、折に触れ見返したくなるような一本です。舞台は1920年代のロサンゼルス。電話交換手として働きながら女手ひとつで幼い息子を育てるアンジェリーナ。ある日仕事で留守にしていた間に自宅にいたはずの息子が行方不明に。数ヶ月後遠く離れた地で息子が発見されるのだが、再会するとそれは別の少年だった…。

自分の息子ではないと主張する母親に対し、警察はあなたの勘違いだ、長い間離れていたから混乱しているのだとまったく聞く耳を持たない。そこで関係者の証言を集め、担当警部に真相の究明を求めていくアンジー。と、序盤は、母親とロス市警との対立が描かれ、当時のロス市警の腐敗構造を絡めながら展開していく。そして、この作品全体を通して表現されるのも、まさに息子を求めて戦い続ける母親の強い愛情。ただ息子に合いたいのだという一途な思いと同時に、そのためにどんな敵にも立ち向かっていく気丈な姿勢です。また彼女の敵とは、ロス市警の警部にはじまり、収容された精神病院の院長だったり、事件の鍵を握るある男だったり変わっていくのですが、終始一貫した強い母親像が描かれていきます。

息子の取り違えという一つの謎から始まって、警察や精神病院の不正を描く社会派の視点を見せたかと思いきや、物語は中盤からは大きな展開を見せ、息詰まる法廷劇、重厚な心理ドラマへと流れ込み、そしてラストシーンへ。いろんな映画のエッセンスを集めたような複雑なおもしろさ。見終わった後には、深いため息とともに、ずしんと心に響く大きな見応えを感じます。母親と同じように一喜一憂しながら映画にのめり込み、喜怒哀楽のすべての感情を抱きながら楽しめました。

舞台は80年以上の前のこととはいえ、テーマとなっている親子愛はもちろん、組織の不正と個人の尊厳の大切さなどは現在にも通じるものであり、重たい題材を扱いながら、人間というものがきちんと描かれているからこそのおもしろさだと思いました。うなります。イーストウッド映画恐るべし!『グラン・トリノ』も必ず見なければ!

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