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2008年12月

2008年12月16日 (火)

『WALL・E/ウォーリー』のガジェット感がよい。

T0005997 いつの間にか座席単位の予約ができるようになっていたTOHOシネマズ六本木ヒルズにて。ピクサー作品といえばまずおもしろいのは当たり前で、じゃあどんな新しいおもしろさを見せてくれるのだ?といううがった見方をしてしまうのだけど、今回もそんな期待のハードルを軽く越えるおもしろさ。キャラクターもストーリーも演出もすべてがよく練られていてもうすごい。どうすればこんな作品が生み出せるのかと感心してしまいます。

人類のいなくなった地球で一人黙々とゴミ収集を続ける一生懸命なロボット、ウォーリー。そこへ突然やって来た新型探査ロボット・イブとの心の交流を描くストーリー。ウォーリーや他のロボットのデザイン、そして全体のトーンが80年代のSF調で、きゅんとくる懐かしさ。ディズニーランドのトゥモローランドのような「懐かしい未来感」。そういえば、映画『ショートサーキット』のロボットにそっくりなのを思い出した。ウォーリーの所作のモーター音や、手足が収納されたりする体の構造などに、ガジェット好きな男の子ゴコロをぐいぐい刺激します。

物語は全編にわたって非力なウォーリーの切なさにあふれていて、きゅんきゅん来るのですが、中でも一番のシーンは、何もない宇宙空間におけるロボット同士の宇宙遊泳。劇中でもその光景が他の人たちの心に影響を及ぼすということを描いているのだけど、見ている私もぐっと胸に迫る感動があり、そのシーンにとても説得力があってよかったです。単なる機械の交流にここまで感情を揺さぶられるなんて、と思い、それと同時に、フルCGの映画にここまで感動するなんてと思う自分に気が付いたりしました。

壮大なスケールのストーリーを、セリフを使わず、説明的なカットを抜きにして、ロボットの動きだけで表現していくこと。しかも見る人に誤解を与えず、意図したおもしろさをきっちりと伝えること。その技術の高さに敬意を感じずにはいられません。

250pxhostess_twinkies ちなみにストーリーとは関係なく、気が付いてニヤリとした小ネタは、ウォーリーの起動音が、スティーブ・ジョブスつながりなのか、Macと同じ音だったこと。そして「決して腐らない」という都市伝説があるアメリカのお菓子、トゥインキーが実際腐らず出てくるところなど。そんなネタや細かな演出を楽しむためにもう一度見返したい一本でした。

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2008年12月 2日 (火)

『ヴィルヘルム・ハンマースホイ展』@国立西洋美術館

Vilhelm_hammershoi__interieur_mit_r 上野。日曜日は朝から良い天気で気温も高め。目の覚めるような青い空と、鮮やかに色づいた銀杏の黄色のコントラストがとても美しい。NHKの新日曜美術館でたまたま知ったデンマークの画家、ヴィルヘルム・ハンマースホイの回顧展にでかけた。今からちょうど100年前に活動したデンマークの作家。自宅の室内を描いた作品が多く、うす暗い室内に柔らかく差し込む窓の光といったモチーフを多く描いている。妻イーダがよく登場するのだが、そのほとんどが後ろ姿、しかもうなじを見せた姿というのがおもしろい。

住んでいたコペンハーゲンの建物や風景も描いているのだが、どれも殺風景で、静かさが漂っている。まるで徹夜明けに日が昇りきっていない朝、車の走ってない都心の道を自転車で走り抜けるような感じ。デンマークという土地の光のせいなのか、どの絵も色彩が穏やかで、空の色や、壁の色、建物の壁の色も中間色が多く、主張しすぎないところがとてもいい。どこか侘びしさのようなものを感じさせ、日本の空にもにているようにも思えるし、余分を取り除いた無印良品的価値観は、日本人好みな気がする。こんな絵なら自分の部屋に飾りたいと思えた。

展覧会の最後には、もはや人物さえ省かれた室内の絵が並ぶ。何もない室内に、ただドアが中途半端に開け放たれている絵。壁沿いに置かれたソファにただまぶしい陽光が差し込んでいる絵。何が起こっているわけでないのだが、その部屋に満ちている空気は、私はたしかに知っている、いつか感じたことのある空気である気がした。

大学最後の年に一年だけ住んでいたおんぼろアパート。そこは家賃15,000円という格安の物件で、相当年季の入った建物なのだが日当たりが良く、静かな住宅地にあったため、周りの音がまったくなく、しかも9畳の広さがあって、物はないけどえらく居心地の良い空間だった。授業にもほとんどでなくなって、その部屋で日がな一日、昼寝したり、本を読んだり、通っていた講座の課題をしたりする毎日。いつも部屋にいるときは何かしら音楽をかけていたのだけど、読書に集中しているときなど、CDが終わってもそのままにしながら本に向かっていた。何もないけど濃密な時間。静寂の中に、豊かさを感じるような時間。そんな記憶を思い出させるような感傷的な気分になってしまった。帰りには珍しく展覧会の図録も買ってしまった。しばらくトイレに置いておこうと思う。

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