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2008年10月

2008年10月27日 (月)

12編の短編小説。ル・ジュー・ドゥ・ラシエット(恵比寿)

Smalldscf6791 誕生日のディナーに相方が予約してくれたレストラン。JR恵比寿からあるいて7〜8分。ビルの2階で、なんだか友だちのマンションに遊びに来たような雰囲気のエントランス。シックだけど堅苦しくない程度のインテリア。大きな窓の隣の席に案内される。青と透明のおはじきが並んでいるのは、「皿の遊び」と名付けられた店名を表しているのか(“le jeu”=遊び、“l’assiette”=皿)。グラスのシャンパンを頂きながら決めたメニューは、12皿ある「Menu de memoire(ムニュー・ドゥ・メモワ)〜記憶のコース〜」と名付けられたコース。店のHPにメニューがあったので、それを見ながらもういちど頭の中でコースを再構成しながら印象と感想を記していこうと思う。

本格的なグルメのレビュー書くのもあんまり経験ないからうまく書けるどうか。

■セップ茸のソテーとそのブイヨン
まずアミューズは聞き馴染みのない名前の茸のソテー。黒い石の板の上にちょこんと盛られた茸と玉ねぎのが3組。フォークでひと突きにしてほおばると口の中に広がるキノコの香り。小さなグラスに入れられたブイヨンもふくよかな香り。秋を感じる。うーん滋味!

■本マグロの薫製と秋茄子のミルフィーユ
すこし熟成されたマグロのほんのりとした旨み。茄子はしっとりしているけどマグロを引き立てるまでには至っていない感じ。でも付け合わせのハーブがとても香り高くておいしい。ひんやり

■ フォアグラのポワレとリゾットクロカン 旬の茸スープを添えて(温)
Smalldscf6763 つばの広い帽をひっくり返したような皿にこんがりとポワレしたフォアグラ。その下には麦を煎ってカリカリにした(クロカン)もの。目の前で茸の白いスープをかけていただく。皿の上にふわりと茸の香りがふわーっとひろがり、深呼吸をひとつ。食べ進むうちにリゾットにスープが染みこんで食感が変わっていくのが面白い。やっぱフォアグラは好きだなあ。皿の周囲には粉末状の茸が散らされ秋の風味をプラスする。ちなみに相方は「柚子の香りのラパンで包んだフォアグラ 3種の桃の食感と共に」

■山口県萩産アワビのコンフィ 小松菜の香り
Smalldscf6766 大きな刷毛で絵の具を引いたような小松菜のソース。白い皿にあざやかな緑色が強いインパクト。ミディアムレアに火を通したアワビは、肝のソースとも合わせていただく。柔らかくてうまいが小降りだったのでアワビらしい食感が楽しめなかったのが少し物足りなかった。

■ラタトゥイユのコンソメ
Smalldscf6768 まん中に小さく空いたグラスの器にコンソメのような冷製スープ。器の縁にはS字にフリットされた琵琶湖のワカサギ。このスープには驚いた。液体になったラタトゥイユなのだ。口に含むとその中からトマト、ズッキーニ、パプリカ、セロリなどの味が輪郭くっきりと浮かび上がる。こんな料理ありなの!?おもしろい!ワカサギをダイブさせてサクサクの衣を楽しむ。うまい!

■本日の鮮魚 人参ソースと香り高いパパーダの泡
Smalldscf6770皮目をカリカリに焼いた白身のカサゴ。甘めのにんじんピューレと、イベリコ豚のベーコンを泡状にしたものを合わせて食べる。身の締まったカサゴに泡を盛ってピューレを付けてパクリ。確かにベーコンぽい香り。視覚と味覚のギャップが脳に軽い揺さぶりをかけてくる。

■オマールメイプル
ぷりぷりのエビの身が素直にうまい。胡椒を効かせたこってり目のソースがダイレクトに攻めてくる。フォークをくるりと返すと身がするりと離れた。

■塩のグラニテ
荒く削った氷と岩塩とライムの果汁。グラスの縁にグラニュー糖。砂糖と塩が舌にダイレクトで触れてくるので味覚の振れ幅が大きくて、少量ながら印象に残る口直し。

■茨城産仔鳩のロティとそのもも肉のフリット
Smalldscf6776メインディッシュ。これぞフレンチというこってりとした赤いソースに浮かぶ小鳩のロティ(ロースト)。牛フィレのような柔らかい赤身の肉が、噛みしめるほどに味わいが広がる。もも肉のフリットは内臓を包んだもの。細い足をつまんでサクリ。ソースをからめてまたサクリ。コクのある味わい。炙った長ネギが良く合う。日本人だもんね。ソースはパンですくいながらすべておいしくいただきました。
相方は■マダムビュルゴーのシャラン鴨のロティ 白と赤のソース 焼けた部分とレアの部分が美しいグラデーションの断面。ざくりとした歯切れと深い滋味でめっぽううまい。みじん切りの玉ねぎがシャキシャキしていてグッド。でもソースの味は良く覚えていないなあ。

■トマトのソルベ
デザート1品目。スプーン上に紡錘形に盛られたトマトのシャーベット。ドライトマトの粉末?がかかっている。サッパリした味の中にスパイスの香りが秘密めいた感じ。

■洋梨のパスタ仕立て
デザート2品目。梨を薄くゼラチンで固めて細く切ったものの上にさいの目にカットされた洋なしのコンポートがのる。さっぱりしていい。

■バナナのヴルーテ モアルーショコラと一緒に
メインのデザート。チョコレートケーキが冷たいバナナソースに浮かべられている。器の縁にはカットバナナのキャラメリゼ。熱くとろけるケーキとバナナの温度差を楽しみながらいただく。飲み物は苦み走ったエスプレッソをチョイス。さらにバースデーということでトリュフチョコレートとフルーツまでいただく。幸せ

と、乾杯から食べ終わるまで、だいたい3時間30分くらい。これがまったく長く感じない。食べ終わった皿について相方と会話を弾ませ、次を待つ間もワクワク。店の名前通り、どの皿にも遊び心が込められていて、シェフの客を楽しませようとする心意気がとても感じられました。一皿ごとに味わいどころ(シェフのたくらみ)が違っていておもしろい。そして、シェフが目指すおいしさの方向性が、自分の好みと合っているのか、「このおいしさ、分かる分かる!」と深い相づちを打ちながら食べた。そんなの初めての経験。食べながらシェフの年齢が近いのかなと思いました(調べてみたら、シェフが2歳上でした)。

それぞれの皿ごとに個性があるのだが、すべてにこの店らしさのようなものがある。まるで12編からなる短編小説を1冊を読み終えたような満足感。ある意味において、今まで食べた中で一番おいしかったディナーだったかも知れないです。そして、このような現代的なフランス料理の世界にはじめて触れたことで、この先にきっともっと素晴らしいレストランもあるのだろうなと実感することができました。そんなわけで、大げさに言うと今後の人生の楽しみが増えたような、とても前向きな気持ちになったのです。最近は仕事が忙しく土曜も出勤したりと、生活がかさつき始めていたタイミングでして、そんな沈みがちな気分を変えてくれたのがいちばんのプレゼントだったかも知れません。

ちなみにスタッフは若くても皆丁寧で親しみやすく、素材のプレゼンテーションも分かりやすくて良かったです。そして最後はシェフの下野氏と支配人の中村氏が階段の下まで見送りに出てくれるなんて。とても満たされた気持ちになったので、静かな町を相方と歩きながら余韻にひたりながら歩いていると、渋谷まで歩ききってしまいました。そんな時間も含めて、とてもとても幸せなディナーでした。

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2008年10月15日 (水)

マンガのような『ウォンテッド』

Wanted六本木にて。冴えないサラリーマンの主人公(ジェームズ・マカヴォイ)が、謎の女(アンジェリーナ・ジョリー)に、古来からの暗殺者の血を引く者だと告げられ、厳しい修行によって隠された力を解放し、敵との戦いに挑んでいく、というストーリー。実写にCGを施したマンガ的な映像に、音楽と音響がシンクロするような演出(心臓の鼓動がバスドラの音とひとつになったり、BGMが紡績機のリズムとシンクロしたり。)など、新しい感覚があふれていて面白かった。ド派手なアクションシーンも独特の見応えがあってとても楽しめた。

主人公がストレスだらけの会社を飛び出し、修行を通じて肉体的にも精神的にもマッチョに成長し、自信をつけていくところは、なんだかファイトクラブのよう。そういえばオフィスでの主人公の様子なんか、エドワード・ノートンの神経症的な憂鬱を思い出させる。さらにこれも廃墟のような工場で行われる修行は、少年ジャンプよろしく「キミにはまだまだ秘められた力が眠っているのだ!」と、いじめられっ子の妄想をかたちにしたようでおもしろい。そして最終的には弾丸をも曲げ、電車の屋根に飛び乗って狙撃したりと、その力はありえない高みにまで進化する。修行で傷ついた体は魔法のお風呂につかることで完治する!って、ドラゴンボールの仙豆やん!

アンジェリーナのまるで人形のような顔の造形が、とても立体的でこれまたアニメを実写にしたような雰囲気で作品にとてもよく合っていたのだけど、秘密結社のボスであるモーガン・フリーマンがもっとマンガ的な外見でも良かったのではと思ってしまった。いつもの「若い世代にいい話を披露する説教老人」的キャラクターの延長だったのがもの足りない。表情もあっさりしてるし、なんか髪型とかもっとおもしろパーマをかけてくれて、狂気みたいなものを演じてくれても良かったのになあ。

ストーリーは、中盤から怒濤のスピードで展開していき、え!マジで!なんてことがおこったりするのだが、序盤からそれほど物語に対して期待していなかったのもあり、そのめまぐるしい展開が気持ちよかったりもした。謎は謎のままでほったらかしにしておいても構わないです。彼ら暗殺者集団の行動の動機のようなものがもう少し見えてきたら良かったのにとも思ったけど、そんなことも、まいっか。と難しいこと考えさせなくするような映画でした。

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