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2008年6月30日 (月)

『ツォツィ』でヨハネスブルグを知る。

Image_introduction_2 よくバックパッカーのあいだで「世界で一番危険な都市はどこだ」という話をすると、決まって一位にランクされる都市がある。それが南アフリカ・ヨハネスブルグだ。強盗・殺人が毎日どこかで発生し、街には麻薬と拳銃があふれている。2010年ワールドカップの開催を控え、犯罪の取り締まりが強化されているとも聞くが、外務省の海外安全ホームページを見ると、“ダウンタウン地区では、殺人、強盗、強姦、恐喝、暴行、ひったくり、車上ねらい、麻薬売買等の犯罪が時間、場所を問わず発生しています。”とのこと。2年後ホントに無事開催できるのだろうか。また、“交差点で停車中に助手席側窓ガラスを割り、座席においてあるバッグ等を強奪する「スマッシュ・アンド・グラブ」が多発”しているなど、犯罪の手口の荒々しさだって半端ない。

そんなグランド・セフト・オートのリバティシティばりの犯罪都市を旅するのはご遠慮したいが、この街に興味と関心だけはあるって人にぜひ見てもらいたいのが、映画『ツォツィ』だ。街でも犯罪発生率がひときわ高い黒人居住区に暮らすツォツィ(不良)というニックネームの少年に焦点を当てて、ヨハネスブルグに生きる人間たちの姿を、これでもかというほど生々しく描き出している。ツォツィの仲間は親もおらず、教育を受ける機会もないまま育ち、4+5の計算もできない少年たち。仕事などあるはずもなく、当たり前のように強盗・殺人・自動車泥棒などの犯罪を繰り返す毎日。何の躊躇もなく人を襲い金を奪う彼らは、人の痛みを知ろうともせず、ホントにもう救いようがないように見える。そんな中、ツォツィはたまたま拾った赤ん坊の世話を始めるのだが、ぎこちなく世話する姿がまた彼の無知を物語り、痛々しい気持ちになる。

映画は中盤まで、少年たちに同情するひまも与えないほど、彼らの身勝手でどうしようもない行動が描かれる。しかし、赤ん坊の世話をさせる若い女性ミリアムとの交流や、絶対的な弱者である赤ん坊の世話などを通じて、次第にツォツィに他者を思う気持ちが生まれ、彼の心は開かれていく…。どれだけ荒みきった心にもわずかでも希望が芽生える瞬間はあるのだろう。名前が分からない赤ん坊にツォツィが自分の本名を与えることで、自分が得られなかった親の愛情を取り戻そうとするシーンが胸を打つ。

B0053164_519353 ストーリーとは関係ない話だが、ツォツィが住む黒人居住区・ソウェトの近くには、大阪丸ビルのような高層ビル「Ponte Tower」が居住区を見下ろすようにそびえ立っている。丸い建物の真ん中がすっぽりと吹き抜けになっているおもしろい構造で、建築系の雑誌などではちょくちょく目にするビルである。建設当初は高級マンションとして名を馳せたそうなのだが、現在は麻薬密売人などが多く住みついて犯罪の巣窟となり、いわばヨハネスブルグの九龍城となっているようである。ちなみにこのビルを舞台とした映画もダニー・ボイル監督で製作が進んでいるようで、そちらもまた気になるところだ。

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